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お客への指導

正しい姿勢は健康の源

 老化とは、死に向かう過程で起こる様々な体の変化であり、事実、その変化を食い止めることは現実的に不可能であり、常時進行している。しかし、その変化のスピードを緩めたり、見た目の状態を実年齢よりも若く見せることは可能であるのではないかと思う。
 我々、人間の体は自律神経やホルモンバランスによって、生まれながらにして無意識に生命活動を最適な状態に保とうとしています。これを恒常性の維持と言いますが、正しい姿勢でいることは、いわば体の状態をニュートラルに保つことであり、その恒常性維持の力を最大限に発揮できるものであろう。さらには筋肉や内臓等への負担も最も小さく抑えられ、結果的に若々しさを保てたり、肩コリや腰痛等の症状も予防できるものだと考えられます。

  しかし、私たち人間は日常生活において自ら姿勢を悪くし、それらを阻害している可能性があります。それに気付き、改善を試みることによって次に挙げるような様々なメリットがあります。まずはそのメリットをご説明致します。決して大げさな表現ではなく、正しく実践すれば効果は現れるものだと考えられます。たかが姿勢、されど姿勢。しっかり認識して着実に取り掛かりましょう。

■アンチエイジング効果
①見た目が美しい
  背中が丸いと実際の年齢よりも年老いて見えたり、やる気がなさそうに見えます。そして腰が前に出ている姿勢でいると、実際に腹が出ていなくても出ているように見えます。
 これらは逆に言い換えることもできます。背中が丸くなければ実際の年齢よりも若く見えたり、やる気があるように見えます。腰を正しい位置にすれば、実際に少々腹が出ている人でも出ていないように見えます。
 次の写真はそれぞれを比較したものです。同じ人物でも雰囲気がガラッと変わります。
 (真ん中 : 正しい姿勢、両端 : 悪い姿勢)

立ち姿勢比較
座り姿勢比較

②血液や神経の流れの効率が良い
  血液は全身に栄養や老廃物等を運び、神経は筋肉や内臓を機能させるための重要な役割を担います。当然、できるだけ流れを阻害されずにスムーズな方が効率は良くなります。正しい姿勢は、それを実現させるために役立つ体の状態と言えます。
 血管が圧迫されて流れが阻害されれば、栄養を運ぶことや老廃物除去に支障をきたし、たるみ等の老化に繋がります。

 神経の流れが阻害されると、筋肉の柔軟性や内蔵機能が低下したりして全体のバランスが崩れてしまいます。そうなると、やはり老化に繋がると考えられます。

③内臓の位置を正し、機能効率を上げる
  例えば大腸で考えてみましょう。大腸は腹部にあり、栄養吸収や排便などの重要な役割を担っており、やはり正しい位置にあることが理想だと言えます。通常、正しい姿勢でいれば大腸も正しい位置にあることができますが、腰が前に出ている姿勢になれば骨盤が開き、腹部内のスペースが広くなります。そうすると大腸や、それに付随して他の内臓も重力によって下がることになります。

■他にも嬉しいメリットがいっぱい
④頭が冴える
  ご存知の通り、我々人間は肺で呼吸を行い酸素を取り込んでいます。呼吸時に、肺を最大限に膨らませることができれば酸素をより多く取り込めますが、逆に肺を膨らませることに制限がかかればどうでしょう。取り込める酸素の量は減ってしまいます。さらにその酸素は、首の骨の隙間を通っている血管に乗って脳に運ばれるのですが、姿勢状態によって、その血流が阻害されてしまいます。
 これら、肺の膨らみや脳への血流を効率の良いものにさせることが頭の冴え・集中力アップに繋がります。それを実現するため、最も根本的に必要なのが正しい姿勢なのです。 言い換えてしまえば、正しい姿勢でいるだけで脳や体全体に多くの酸素を送り込むことができるのです。

⑤体が楽になる
  人体骨模型をご覧になられたことはあるでしょうか。模型のメーカーにもよるので一概には言えませんが、あの骨の姿勢で、その周囲に筋肉や内臓等がある状態が最もニュートラルで理想的です。模型で考えてみると当たり前のことですが、体のバランスが前後左右に片寄れば、本来そのまま倒れてしまいます。人間の場合、バランスを崩しても倒れずに立っていられるのは筋肉等で支えているためです。
 姿勢が悪いということはバランスが悪いということです。それがわずかなものであったとしても、常に筋肉等に負担がかかっており、積もり積もっているわけです。

 正しい姿勢は体のバランスが良い状態であり、これらを事前に回避できる可能性に大いに期待できる素晴らしいものです。姿勢療法といってしまっても過言ではありません。

⑥気持ちが明るくポジティブになる
  気持ちが落ちているときは背中が丸まることがあります。もし、気持ちは正常であったとしても背中が丸いと、何となく気持ちの落ち込みにつながってしまいます。これらを逆に考えれば、気持ちが明るいときは背中がシャキッとなりますし、もし、気持ちが落ちていても背中をシャキッとすれば、何となく気持ちが明るくなることがあります。
 個人差はあると思いますが、少なからず姿勢と気持ちには関連性があるようです。

 実際のアンケート結果がありますのでご覧下さい。
「姿勢と気持ちのアンケート」
平成23年実施 10代後半~80代前半の男女206名対象
(一般社団法人日本姿勢教育協会 姿勢教育指導士資格認定講座テキスト 2015年版より引用)
●背中を丸めて前向きに考える・・不自然または、どちらかといえば不自然に思う
96%
●背中を丸めて幸せな気持ちになる・・不自然または、どちらかといえば不自然に思う
85%(自然だと思うと答えた人は0%)
●背中をシャキッとして後ろ向きに考える・・不自然または、どちらかといえば不自然に思う
82%
●背中をシャキッとして不幸な気持ちになる・・不自然または、どちらかといえば不自然に思う
87%

⑦認知症の予防
  悪い姿勢での歩行は、正しい姿勢での歩行に比べて歩幅が減少または、無理な歩行になります。歩幅が減少すれば認知症になるリスクが上昇するとされています。
 東京都健康長寿医療センター研究所によると、歩幅がどんどん狭くなる群は、歩幅が広いままで保たれる群より認知症の発症リスクが2、8倍高くなる傾向にあることがわかり、歩行速度で重要なのは、歩くテンポより歩幅だとしています。(週間朝日 2017年4月7日号より一部抜粋)

⑧ダイエットの効率性アップ
  正しい姿勢で内臓、血液や神経等を良い状態に保つことによって、栄養素の消化・吸収・排泄等の生理機能が正常に働くと考えられます。それにより、ダイエット効果アップを期待できます。もし、正しい姿勢に無関心でダイエットに励んでいる方は、残念ながら無駄または効率の悪い努力だと言えます。


姿勢タイプ

 姿勢が悪くなることは下記のような日常生活動作から考えて、明らかであり誰もが直面することです。
・手元の作業は下を向かないとできない。
・腕や目が前にあり、だいたいの作業時に丸くなる。
・背中を丸める機会に比べて、背中を伸ばす機会が圧倒的に少ない。
・丸まっていることが普通になり、それが楽だと錯覚する。

 これらを受け止めて何かしら対策をとっていこうとするのか、はたまた「私は元々、猫背だから仕方がない。」「一日中パソコンと向かい合っているから姿勢が悪くなっても仕方がない。」と、当然のように受け入れて改善の努力をしないのか。
後者は論外とし、前者のように関心を持っていても行動に移さないでいれば意味がありません。私の知っている限り、諦めているのか、正しい姿勢の効果を信じていないのか、私の伝える熱意が足りていないのか理由ははっきりと分かりませんが正しい姿勢を理解して実践しようとする人は少数です。中には我流で姿勢を正している人もいますが、間違った方法で実践していると危険が伴う可能性があるので避けたいところです。

 たしかに、いくら正しい姿勢を理解して実践しようとしても、上記のような日常生活動作をやめることは簡単ではありません。でも諦めないで下さい!正しい姿勢の重要性を知り、ある程度の知識を持っておけば、それは大きな力となります。例えばデスクワークの場合、パソコンや資料等の位置を調整することで今よりは正しい姿勢を実践できるような環境に変えることができるかもしれません。長時間同じ座り姿勢が続けば背骨を逆反りしたり社内を散歩するかもしれません。時間がなければ、せめて座り姿勢を見直すかもしれません。空き時間や休日を使ってトレーニングや体操をするかもしれません。

 そうです、今まで気にもしていなかったことが気になり始めて、自ら何らかの行動を起こすようになるはずです。そんな小さな気付きや行動が嬉しい効果をもたらします。ですので、正しい姿勢効果を信じて、日常生活動作による当たり前の悪姿勢に屈することなく前進していただきたく思います。

 では、ここで姿勢タイプの分類と、それぞれが引き起こしうる症状例を挙げてみます。まずは図の中から、ご自身の姿勢タイプで当てはまるものを見つけ出し、その後の図で現れうる症状をご確認下さい。

 立っているときと座っているときの姿勢タイプは異なる場合もあるので、それぞれの姿勢をチェックしてみて下さい。また、姿勢タイプは一つに限らず複合的に現れることもありますので念頭に置いておいて下さい。

 なお、姿勢タイプの分類は、一般社団法人日本姿勢教育協会および同協会理事碓田拓磨氏による定義(猫背の6種類の分類方法)を参考にしています。

あなたの立ち姿勢は?
あなたの座り姿勢は?

猫のような姿勢(円背)
頭の前倒れ
尻突き上げ
腹突き出し
理想的な姿勢

 正しい姿勢以外になっている人は、しっかり自覚するようにしましょう。仮に正しい姿勢である人も、その方法を間違っている場合もあるので、念のために次章で解説する正しい姿勢の実践方法をご確認下さい。


健康の基盤を作る

 それでは実際の方法についての説明ですが、結論から言えば次に挙げる3つを難なく実現できれば基盤作り完了です。これらは私、独自の整体理論から引用したものであり、体の状態をニュートラルにもっていく上で原点といえますが、これだけを読んだところで、では何をすれば良いの?ってなると思います。これら3つを踏まえて、具体的にどうすればいいのかを次ページにて「実際に行うべきこと」と題して説明致します。図と併せてご確認下さい。

1、正しい姿勢を理解し、実践する(これが全てと言っても良いくらい重要です)
 難しい、辛いことだと思われる方もいらっしゃいますが、順序を踏まえてゆっくり進めていけば簡単なことです。諦めず信じて進めることが大切です。

2、筋力バランスを整える・筋肉の柔軟性を回復させる
 正しい姿勢を実践すれば次第に筋力バランスは整うので、特別に気合いを入れて筋力トレーニングに励む必要はありません。むしろ筋力トレーニングだけでで全身の筋力バランスを整えることはとても困難で無意味なものだといえます。
 但し、筋肉の疲れや硬くなった部分があると、思うように正しい姿勢を保つことが困難になり得るので筋肉の柔軟性を高めるための最低限のトレーニングは必要です。

3、関節の動きを柔軟にする
 関節の動きが鈍いと正しい姿勢を保つことの妨げになり得るので、関節の柔軟性もまた必要です。

■「実際に行うべきこと」は下記①②だけ!
①正しい姿勢の実践
(一般社団法人日本姿勢教育協会 姿勢教育指導士資格認定講座テキスト 2015年版参考)
[目的]
 正しい姿勢とは理論上、骨だけで自立できる状態、すなわちニュートラルな状態です。実際には骨だけで自立することは不可能ですが、それに近づけることによって筋肉や内臓等への負担を減らすことが期待できます。
 ここでは、ニュートラルな状態の実現のための具体的な”体の形”をご理解していただきます。次に挙げることを一つずつ確認しながら、試しにやってみて下さい。最初は慣れなくて辛いと思います。仕事の種類によって、環境によっては、どうしようもない人もいらっしゃると思います。しかし、まずは定義として理解して覚えてしまって下さい。

<立っているときの横から見た姿勢>
・足裏は全て地面に付いている。両足の間隔は腰幅程度。
・かかと、尻、背中、頭が壁につく。
・肩の頂点と耳穴の位置に前後差がない。
・顔の面(額とアゴを結んだ線)が壁と平行。
・腰の後ろに手のひら一枚分ほどのスペースがある。
<座っているときの横から見た姿勢>
・足裏は全て地面に付いている。両足の間隔は腰幅程度。
・肩の頂点と耳穴の位置に前後差がない。
・顔の面(額とアゴを結んだ線)が壁と平行。
・肘を90度曲げて手の平が天井に向く形で太ももに乗せる。肘はやや体の後ろにくる。
・股関節、膝関節、足関節を約90度に保つ。
<正面または背面からみた姿勢 / 立・座共通>
・足裏は全て地面に付いている。両足の間隔は腰幅程度。
・耳穴、肩の頂点、腰のくびれ、脚の付け根の膨らんだ部分、膝の皿が左右対称
・目線は正面

正しい立ち姿勢
正しい座り姿勢
正しい立ち姿勢(正面)

 歩行中や自動車や自転車、バイク等の運転中も同様に、これらの姿勢を意識するようにして下さい。中でも乗り物で移動中は、振動が大きく体は上下左右に揺らされますが、特に上下の揺れには気をつけたいところです。首・背中や腰が丸い状態はそれだけで不安定ですが、そこに上下の揺れが加わると背骨はさらに不安定になります。お分かりの通り、それを補うために筋肉には大きな負担がかかります。また、首や腰が丸くなるという状態は、通常と反対にカーブしているということになります。そこに上下の揺れが継続して加わると背骨と背骨の間の軟骨が後ろに飛び出て神経を圧迫してしまう、いわゆるヘルニア症状に発展する可能性があります。

②簡単フィットネス
 フィットネスといえば馴染みのない人にとっては何だか面倒くさいことかもしれませんが、文字の通り、本当に簡単です。ここで言うフィットネスとは、筋肉や関節の柔軟性を回復・維持する目的で行うものです。筋肉の柔軟性というとストレッチが最初に思いつきそうですが、ストレッチをして筋肉を伸ばすだけが柔軟性回復の方法ではありません。筋肉は収縮と弛緩を繰り返すことによって柔軟性が出てきます。具体的には次に挙げるような方法です。ここではまだ実践する必要はありませんが、何となくのイメージをしておいて下さい。

  簡単フィットネスとは言うものの、闇雲に行わず、しっかりと目的と要点を理解した上で行うようにしましょう。そうすることで効率性アップに繋がります。 

 また、注意事項として、体の痛み等の不調がある場合は無理して行わず様子をみるか、専門家にみてもらうようにして下さい。

●ちょいトレ&ストレッチ(必ずセットで行う)
[目的と要点]
 姿勢を保持するために必要な筋肉の柔軟性を高めるために、筋肉の収縮と弛緩を繰り返します。筋力アップすることが目的ではないので無理な努力は不要です。そして、ちょいトレ後のストレッチは筋肉の緊張を残さないために必要です。ストレッチを怠れば筋肉は緊張したままになり、柔軟性を出すどころか逆の結果を導いてしまう可能性があるので気をつけましょう。

  ここで紹介している、ちょいトレは、簡易的で最低限のものです。余裕がある人はこれら以外にも何かしらのトレーニングを行うと尚良いでしょう。但し、最低限のものとはいえ、要点を絞って考えたものですので、しっかり行えば姿勢維持のみならず、肩コリや首コリの緩和、疲労回復にも役立ちます。

体の前側の簡単トレーニング
体の後ろ側の簡単トレーニング
あし周りの簡単トレーニング
腹の簡単トレーニング

腹の簡単ストレッチ
体の後ろ側の簡単ストレッチ
あし周りの簡単ストレッチ

●いつでも体操 | 腰痛予防体操、キャットレッチ、キャットレ棒
[目的と要点]
 日々の疲れや、体への負担の蓄積によって骨盤や背骨、肩甲骨が硬くなるのを防止し、柔軟性を出す。いわば、体のリセットである。
 いつでも体操はネーミングの通り、いつでも手軽に3分程度あればできます。たかが3分、されど3分、手が空いたらいつでもやりましょう。

いつでも体操(腰)
いつでも体操(背骨の柔軟性アップ)座位
いつでも体操(背骨の柔軟性アップ)仰臥位

背骨柔軟性アップに役立つグッズ二選

 筋肉や関節の柔軟性を高めるために整体施術を受けることも手段の一つではあります。しかし、そればかりに頼ってしまうと自力で改善・維持しようとする力が衰えてしまう懸念があります。
 人間も一種の動物であり、文字の如く「動く物」です。極力、自力で行うことが理想でしょう。整体施術は必要最低限の補助的なものと考え、うまく利用していくことが体にとっては良いことだと、私は思います。


努力だけではダメ

 これまでの説明で、正しい姿勢の重要性はお分かりいただけたでしょうか。しかし、生活の中で全ての時間を正しい姿勢で過ごす必要はありませんし、そうすれば、むしろ逆効果となる場合もあります。最終的に、正しい姿勢の実践時間の目安として割合でいうと、一日の活動時間内の6~7割程度にとどめ、残りは楽に気を抜いて体を休めます。その割合に関しての個人的な実験の結果がありますので記載しておきます。

「スロット遊技中における、姿勢状態による疲労感と蓄積日数」
(自筆ブログ「かたもみ録」2016年4月1日投稿分より一部抜粋)
●スロット遊技中の実験を選んだ理由
 もちろんのこと、決してスロット遊技することを勧めているわけではなく、次のような理由からスロット遊技中における実験を試みました。
一、悪い姿勢と正しい姿勢を自らの意思で簡単に切り替えることができる。
一、いつでも立ち上がって簡単な体操ができる。
一、10時間という長い時間でも、さほど無理なく座っていることができる。
●実験方法
一、1日約10時間の遊技である。
一、2~3時間に一度は必ず腰痛予防体操とキャットレッチ(前章の図にて説明の、いつでも体操①、②)を行う。
一、ストップボタンを押す手を定期的に左右チェンジする。但し、コインを投入するのは全て右手
  これらの同一条件の下に、悪い姿勢と正しい姿勢それぞれの時間的な割合を変化させ、割合別に疲れの具合を主観的な感覚で記録する。なお、悪い姿勢とは姿勢タイプを限定するものではなく、その時々で楽だと感じた姿勢のことである。
●実験のパターン
A,正しい姿勢と悪い姿勢の時間的割合を、7対3(理想的な比率)で遊技したときの当日疲労感と疲労蓄積日数
B,正しい姿勢と悪い姿勢の時間的割合を、10対0の比率で遊技したときの当日疲労感と、そのまま放置した場合と、その疲労に対して何らかの対処をした場合の疲労蓄積日数

 以上の結果より、良い姿勢であれ、正しい姿勢であれ、それを保ち続けること自体が疲労の原因になっているように考えられます。結果に関しては個人差があると思うので実験当時(2016年4月現)の被験者情報を記載しておきます。
 被験者 / 35歳(独身)、男性、身長173cm、体重73kg、喫煙者、体調良好

  ずっと正しい姿勢でいる必要がないと思うと少し気が楽になって嬉しくないですか?さらに嬉しいお話があります。正しい姿勢は自分だけの意識や筋力だけで頑張る必要はありません!例えば、背もたれがあるイスの場合は、その背もたれを利用して骨盤の正しい位置を保つ方法があります。もし、背もたれがないイスの場合や、背もたれまでの距離が遠くて届かない場合でも、最近では便利なグッズも販売されています。
 そして、床に直接座る際は、背もたれがあればそれを利用できますが、ない場合は正座が最もおススメです。何故ならば床に座る際、正しい姿勢を保持できるのは正座だけだからです。もし、何らかの事情で普通に正座ができない場合は正座イスといわれる便利なグッズも販売されているので試してみる価値はあるかと思います。

 ではここで、背もたれを利用して楽に正しい姿勢を保つグリグリ座法や、いつでもパッと姿勢を正す方法、そして座る際の正しい姿勢キープをサポートしてくれる便利なグッズを一部紹介させていただきますので、是非ご参考にして下さい。
 なお、背もたれを利用して楽に正しい姿勢を保つグリグリ座方や、いつでもパッと姿勢を正す方法は一般社団法人日本姿勢教育協会 姿勢教育指導士資格認定講座テキスト 2015年版「楽にいい姿勢を保つコツ」を参考にしたものです。

簡単に理想的姿勢で座る方法
簡単に理想的姿勢で立つ方法

楽に理想的姿勢で座るためのグッズ三選


日常生活における指導

 これまでの内容をしっかり実践しても、その効果を妨げるようなことをしてしまえば、せっかくの努力も無駄または効果減少してしまいます。次に並べる事々は考えることすら面倒で、改善していくとなると尚更面倒なことです。しかし、とても重要なことばかりです。一つでも怠れば全てが台無しになると言っても過言ではありません。理由も含めてお読みいただき、原則として全てをクリアできるようにしましょう。
 いずれにしても気を抜く時間は必要ですが、それをクセにしたり日常的なものにしたりすることは確実に避けたいところです。

●足裏(靴)縦のセンターラインが地面を這うように歩く
 [理由] 足裏(靴)の外や内への重心の片寄りは、体全体のバランスの片寄りになり、正しい姿勢の保持ができなくなります。
●脚組みをしない(左右交互にしてもダメ)
 [理由] 骨盤が後ろに倒れ込み、腰や背中の骨が丸くならざるを得なくなります。
●腕組みをしない
 [理由] ほぼ確実に背中の骨が丸くなります。
●地べたに座る時、あぐらや、お姉さん座りは控える(正座がベスト)
 [理由] バランスが崩れたり、背中の骨の丸さに繋がります。
●財布等をポケットに入れない、ポシェット等をズボンに引っ掛けない
 [理由] 重みや異物感は本人が気にしていなくても、体にとってストレスになってしまい、無意識にバランスが崩れます。
●テレビやパソコンモニターは、できる限り目線の正面にくるように配置する、または自身の足下から首まで全体を向けるようにする
 [理由] 上半身だけや首だけを極端に上下左右に向けた状態で長時間いることは、体にとって大きな負担となり、関節の可動性減少やコリに繋がります。
●文字を書くとき、紙は斜めにならず、真っ直ぐになるように置いて書く
 [理由] 斜めになってしまうということは、その分、肩が前に出ていたり体を捻っていることが考えられますので好ましくありません。
●柔らかいソファー等に長時間座らない
 [理由] お尻が沈み込み、骨盤が後ろに倒れて腰の骨や背中の骨が丸くなることを間逃れることはできません。
●立っているときや座っているときの重心は極力片寄りがないようにする
 [理由] 片側に重心をかけ続けると体全体のバランスが片寄ってしまいます。
●荷物を手や肩に持つときは適度に左右交互にする
 [理由] 同じ方ばかりで持ち続けると体全体のバランスが片寄ってしまいます。
●体が沈み込むくらいの柔らかい布団で長時間寝ない
 [理由] 例えば仰向きで寝る場合、体で最も重い部分である骨盤あたりが大きく沈み込んでしまい、結果として骨盤が後ろに倒れて腰の骨や背中の骨が丸くなることを間逃れることはできません。柔らかいソファーに座っているときと似たような状態になります。
●首が前にオジギしてしまう程の高さの枕は避ける(目線が天井の真正面にくる程度が理想)
 [理由] 高すぎると首の骨が前に巻き込んで丸くなります。それは首の骨の本来のカーブが逆になってしまうことであり、ヘルニアや筋肉緊張の原因になってしまいます。
●マッサージチェア等で長時間寝てしまわない
 [理由] マッサージチェアに限ったことではありませんが、チェアに座ったまま寝てしまうと背中全体の骨のカーブが悪くなりがちです。
●食事の際は、左右バランス良く噛むように心がける
 [理由] 噛む動作もやはり筋肉の動きで行われます。同じ方ばかりで噛むと、そちらの筋肉ばかりに負担が集中してしまい、結果的に首や肩等の筋肉にまで連鎖的に影響が出る可能性があります。

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やるべきこと

 整体目的の原点から考えると、術者だけの努力では足りず、お客様の努力も必要になります。しかしお客様が努力するべきことを明確に指導することは術者の業です。

大まかな進め方として「施術」と「指導」の2つが必要になってきますので、それぞれを簡潔に説明し、その具体的方法を記載致します。

 まず筋肉の柔軟性維持ですが、ほぐし整体業であれば、あなたが日頃から行っている方法も一つの手段です。ただし、その考え方や、やり方によっては十分に効果を発揮できません。上手くいけば関節の柔軟性回復にも繋がりますので、的確に行いたいものです。またお客様の訴える症状改善・緩和には精神的なリラックスが必須です。それがあってこそ施術の効果が十分に発揮できるものです。そして重要なこととして、理想的な姿勢を維持してもらえるよう指導することです。これなくしては、せっかくの施術も一時的なものとなり、症状は繰り返されます。


施術

 ここでは、施術は、ほぐし整体とストレッチの2種類をメインに進めるものとして説明します。ほぐし整体はいわば筋肉調整です。筋肉が緊張して収縮すると骨を引っ張り、ズレを起こすと考えると、ほぐし整体は骨調整も兼ねていると言えます。ですので、ほぐし整体は関節の可動性を常に確認しながら行うことが望ましく、その方法として、術者の手指等を関節に当てて、その関節の可動の最大域まで圧をかけたり捻ったりします。そこから術者の体の動きを使ってバネのように軽くコンコンとします。その時に、狙った関節単体のクッション性があればOKです。可動性が悪いと、その周囲の関節も一緒に動いてしまいます。主に肩甲骨、仙腸関節の可動性はしっかり確認したいものです。そして脊椎の可動性もまた重要ですが、脊椎に関しては一つずつ掴んで左右に揺らしてみたり、上下の脊椎を掴んでそれぞれ反対に動かしてみたりすると可動性が分かります。このように関節の可動性を回復させながら進めていきますが、万が一、ほぐし整体等で関節の可動性を回復できない場合は、別途カイロプラクティックやオステオパシー等の特殊な整体法を使用しますが、本書では説明を割愛します。  いずれにせよ、これらは整体目的の原点に則ったものであり、特に方法を限定するものではありません。術者自身に最も合い、信頼できる技術を見つけて修得することが大切です。

【ほぐし整体施術】

 施術の方法は様々なものがあり、中には直接お客様の体に触れずに行う方法や、器具を用いて行う方法もあります。ここでは直接、手で行う施術(徒手施術)を対象にしておりますので、それを前提で記載致します。施術は術者の手指等とお客様の体が接することによって始まりますが、互いの接する部分はいくつか考えられます。

 まず、お客様側の施術される部分としては、大きくみれば筋肉の盛り上がりがある部分になりますが、それをさらに細かく分解すると、張り感がある部分、猫の舌のようにわずかにザラつきがある部分が挙げられ、それらの部分を見つけて施術を行います。単に盛り上がっている、硬いというだけでその部分ばかりを施術するべきではなく、その動きやザラつき減少を確認しながら施術を進めていくことが理想です。

 次に、術者側が使用する部分としては指先、指腹、手のひら全体、手根、手刀(手のひらの小指側側面)、前腕、肘頭が挙げられます。

 これら互いの部分がまず合致することが最初の始まりです。合致すれば具体的な施術方法に移りますが、いくつかの種類がありますので、それぞれ種類別に説明します。

各種記号等の見方

お客様の体に接する部分について


<技術の種類>
①基礎的押圧法 ー 直圧法

②実務的押圧法 ー プレス直圧法 [文中ではプレス法と略す場合あり]
(A 横方向) (B 縦方向)

③揉捏法(じゅうねつほう)
(A 横方向) (B 縦方向)

押圧法の考え方

①基礎的押圧法 ー 直圧法
 まず、基礎的押圧法から説明します。
最もシンプルな方法としては、筋肉の盛り上がりのラインに対して施術の手指等を十字または斜めに置き、施術部分を逃さずブレないように、合致している面に対して垂直に圧をかけます。施術の手指等から肩まで一直線である状態が最も効率よく体重が乗ります。そして指で施術をする場合は、施術部分にセットした後、指は固定状態にします。なお、お客様の体を包み込むイメージで行いますが、圧をかけるべき部分以外の手(母指で圧をかける際であれば四指)は力を抜き、添えている程度にします。その他、施術部分を”とらえた状態”でお客様の体を揺らすと、より深部の施術ができたり、リラックス効果が増大が期待できます。術者の体幹から肩、腕、手と揺らしを伝え、振り子のようなイメージで行うことが大切です。決して手先で行うものではありません。なお、揺らしはこの後に記載するプレス法の際にも使用できます。

 基礎的押圧法 ー 直圧法はこの後に記す実務的押圧法であるプレス法と併せて使うものであり、単体では基本的に使えないものだと認識下さい。練習していくうちに迷うことがあれば、基礎的押圧法を再確認して下さい。

直圧法


②実務的押圧法 ー プレス直圧法 概要

 基礎的押圧法の感覚を理解し、ある程度上手くできるようになれば、早速それを応用した押し方である、プレス法という施術の方法を行います。プレス法は、支点よりテコの原理で施術部分を挟み込むもので、ブレ防止にとても役立ちます。少し理解しにくいかもしれませんが、安定感のある施術を実現する上でとても重要で役に立つ方法ですので是非とも修得して下さい。
 なお、説明としては母指や手根を使って手前から奥、または左右の動きをする施術を前提としております。例えば四指で奥から手前の動きをするような施術は下説明の逆だとお考え下さい。
いずれの場合も支点側を手前とし、逆側を奥とします。

   まず筋肉の少し手前に施術の手指等を当てるのですが、このときに単に当てるのではなく、筋肉の奥または天辺あたりから手前にタオルや皮膚のたるみを絞りとるように軽くお客様の体の表面を滑らします。奥側のタオルや皮膚を突っ張らせて手前にたるみを持たせるイメージです。
この後の動作の支点となるので比較的狭い面または点を使い、入れ込むようにします。入れ込むとは、母指を使う場合で言うと、手の甲を伸展させる動作であり、前腕を使う場合で言うと、肘を屈曲させる動作です。

   支点となる部分をとらえたまま手指等を筋肉の奥方向に倒しこんでいきます。支点を基にテコの原理で行います。
これは支点を作る際の動作とは反対になります。母指を使う場合で言うと、手の甲を屈曲させる動作であり、前腕を使う場合で言うと、肘を伸展させる動作です。

   倒しこみと同時に支点を少しずつ浮かせていき、筋肉の盛り上がりに対して垂直の位置から、わずか手前に傾斜する位置に合うよう慎重に調整します。わずか手前に傾斜させることによって盛り上がりの奥に作った突っ張りと術者の手指等両方で施術部分を挟み込むことができ、より安定した押圧が実現します。この位置をプレス面とします。
プレス面の手指等に筋肉の盛り上がりをしっかりとらえて安定感があれば正しくできていると考えられます。
安定状態が確認できたら、施術部分の指(指で施術する場合)は固定のまま腕や体の位置を押圧の軸と合うように調整し、あとは体重移動によってプレス面方向に直圧をかけます。

 ここまでが実務的押圧法であるプレス法の全体的な説明です。
プレス法や、後に説明する応用法である揉捏法は施術の方向として2種類に分類できます。
施術の方向とは筋肉のラインに対して横方向なのか、縦方向なのかです。一般的には横方向の施術が主ですが、場合によって縦方向の施術は、より一層の効果を発揮しますので、横方向の施術と合わせて修得していただきたく思います。

 文章説明だけでは理解が困難かもしれませんので、図と併せてご確認下さい。

  ②実務的押圧法 ー プレス直圧法(A 横方向)

 筋肉の盛り上がりの奥から手前にタオルや皮膚のたるみを持たせ、奥側を突っ張らせて行います。上記で、術者が使用する部分として指先、指腹、手のひら全体、手根、手刀(手のひらの小指側側面)、前腕、肘頭が挙げられると記載しておりますが、横方向のプレス法での使い方としては基本的に下に記すようにワンセットで考えます。

  <指を使う場合>
支  点 : 指先
プレス面 : 指腹
<手を使う場合>
支  点 : 手根
プレス面 : 手のひら全体または手刀や手根
<前腕を使う場合>
支  点 : 肘頭
プレス面 : 前腕の内側の柔らかい部分(手のひらを下に向けておく)

プレス法(横タイプ)

②実務的押圧法 ー プレス直圧法(B 縦方向)

 横方向のように、筋肉の盛り上がり一点に対して行うものではなく、広範囲に対して行う施術です。
横方向では筋肉の盛り上がりの奥から手前にたるみを持たせますが、縦方向では盛り上がりと言う概念がなくなります。任意に盛り上がりを作るようなイメージで、奥から手前にタオルや皮膚のたるみを持たせ、奥側を突っ張らせて行います。
術者の使う手指等は、縦方向のプレス法での使い方としては基本的に下に記すようにワンセットで考えます。

<指を使う場合>
支  点 : 指腹
プレス面 : 指腹
<手を使う場合>
支  点 : 手のひら全体または手刀や手根
プレス面 : 手のひら全体または手刀や手根
<前腕を使う場合>
支  点 : 前腕の内側の柔らかい部分(手のひらを下に向けておく)
プレス面 : 前腕の内側の柔らかい部分(手のひらを下に向けておく)

プレス法(縦タイプ)


③揉捏法 概要

 続いて、揉捏の方法を説明しますが、これは言うならばプレス法でプレス面にたどり着くまでの経過をしっかり行うものです。プレス面に到達するわずか手前で、押圧を緩めて自然に術者の手指等を離します。揉捏によって、施術部分の一つである猫の舌のようなザラつきが発見できますので、とても有効な施術法です。

 練習方法としては手首や肘の柔軟性を養えるようなことであれば思いつくものでかまいません。例として挙げるとバスケットボールのワンハンドシュートやドラム演奏法のダブルストローク、500mlペットボトル程度の太さのものを体の前側で持った状態でペットボトルの位置が変わらないように手首を屈伸させるなどがあります。
 揉捏法に関してもプレス法と同様に横と縦の2種類あります。
これもまた横方向のみならず縦方向も是非修得して下さい。

③揉捏法(A 横方向)
 動きとしてはプレス法の横方向を参考にし、プレス面までの経過をしっかり感じ取りながら行いましょう。確実にプレス面に到達するまでに術者の手指等を離すようにし、お客様の筋肉がゴロンとならないよう十分に注意をして下さい。

揉捏法(横タイプ)

③揉捏法(B 縦方向)
 動きとしてはプレス法の縦方向を参考にし、プレス面までの経過をしっかり感じ取りながら行いましょう。特に術者の手指を離すタイミングは気にしなくても、お客様の筋肉が横方向の揉捏のように奥から手前にゴロンとなることはありませんが、筋肉のラインに沿った方向に圧をかけているので、脱線して左右にゴロンとなることや、術者の手指等がお客様の骨に当たってしまうことは考えられますので十分に注意して下さい。

揉捏法(縦タイプ)

まとめ(横向き施術や足つぼに関して例外あり)

●施術面に対して垂直になるよう手指等を合わせる。
●面に対して効率良く圧をかけるためは、指先・手首・前腕・上腕を一直線に近く保ち、その軸を圧をかけるべき方向に合わせることがもっとも術者の体に負担が少なく安定感もある。ただし、必ずしも実現できるときばかりではない。
●指先・手首・前腕・上腕を一直線に保つためには術者は細かく体勢調整が必要。
●押圧は深部までしっかり圧をかける。揉捏の際も同じく、まずはしっかり圧をかける。
●目線は施術部分ばかりにやらず、目の水平ライン上で正面にやります。それは術者の背中が丸くならないようにするためです。術者の背中が丸くなると、体重をかける効率が悪くなり、結果的に手指等や体の前側の筋肉に無駄な力が加わります。それは術者、お客様ともに危険が伴うものですので、しっかり意識しましょう。
●押圧は原則として体重移動で行う。指で施術する場合、指は固定状態。


【ストレッチ施術】

 ストレッチをかけたい部分が最大限に伸びた状態で、さらにストレッチをかけようとすると、その動作に関連する別の部分が代償的に動き始めます。通常、そのような状態になれば本来ストレッチをかけようとする部分には最大限にストレッチがかかっていると言えます。ですので関連する別の部分が少し動き始める、または、そのわずか手前が本来ストレッチをかけようとする部分のストレッチポイントです。

 例として、まず仰臥での腰部ストレッチを考えてみましょう。ここでは右脚を反対側に捻る方法で説明します。右脚を反対側に捻ると、やがて右肩が少しずつ浮いてくるはずです。それが関連する別の部分の代償的動作です。

 もう一つ例を挙げると、首を屈曲させて後ろ側を伸ばすストレッチ法を考えてみましょう。あまり強くやり過ぎると背部が代償的に屈曲してくるはずです。
 いずれにせよ、代償的な動きとは、本来のストレッチをかけようとする部分の限界に達したときに、その動きを代わりに行おうとするものです。代償的な動きをほんのわずか確認できた段階が本来ストレッチをかけようとする部分のストレッチポイントだと認識し、しっかり見極める必要があります。これもまたお客様によって違いがあるので一概に同じようにではなく、一人一人確認を怠らず慎重に行うようにしましょう。

 ではここで”ゼロ”に戻って考えてみましょう。特にストレッチは、方法を丸々覚えてしまおうとする方をよく見かけます。しかしそれはけっこう大変なことです。しかも方法だけを覚えても応用がきかないというデメリットもあり、さらに間違った認識で行うとお客様のケガに繋がる恐れがあります。
 そこでまず、どこの部分にストレッチをかけたいのか、まずはそれを明確にする必要があります。次いで、その部分とは何の筋肉か突き止めます。突き止めればその筋肉の作用とは逆の動きに持っていけば完成です。これは解剖学の筋肉の起始と停止、またその作用を理解する必要がありますので容易なことではありませんが、少しずつでも覚えていくようにすることが得策です。


指導

 施術だけでは整体の効果を継続することは困難だと考えます。もし、精神的な緊張があるように感じ取ったりお客様の話より聞き取ったりすれば、それに対するアドバイスが必要です。
 そして、絶対的にと言っても過言ではない指導内容として姿勢指導が挙げられます。姿勢が体に及ぼす影響を分かりやすく説明し、理想的姿勢とはどんなものか理解していただくことがとても重要です。さらにそれを無理なく実践できるように体操等の運動指導を併せて行う必要があります。

【精神的安定の対策指導】

 精神的な緊張とは、ストレスであったり睡眠不足等の脳自体の疲労と考えます。脳の疲労は体全体の緊張に繋がり、それは体表面の突っ張り感として現れます。そのお客様にとって簡単には解決できないような原因もあると思うので一概に対策を講じることは容易ではありませんが、思い当たる限りのアドバイスをしてあげることも大切だと思います。そうした中に術者とお客様の間に信頼関係が生まれたり、術者の個性が現れたりするのかもしれません。なので、もしかすればアドバイスなんて偉そうなことをせずに、ただ黙って話を聞きながら施術をするっていうのも一つの手段なのかもしれません。

【姿勢と症状の関連性説明指導】

 お客指導 参照

【理想的姿勢維持のための指導】

 お客指導 参照