術者の足腰や肩が痛くなる

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[原因]
①上半身の体勢が不適切
②圧の加減が不適切

[対策]
①施術時、腰周りや背中、首の形はどのようになっていることが多いでしょうか。もしも腰から前に曲がって腰周りの背骨が後湾状態を保っている時間が多いとすれば、腰痛の一原因として考えられます。解剖学的に腰周りの背骨は前湾しています。それが腰を前かがみで背骨が後湾すると、それを支えようと筋肉が緊張します。首も腰と同じく通常は前湾しているので前に傾き過ぎて後湾になると、筋肉への負担が大きくなります。背中は腰や首とは逆で通常は後湾していますので、前に傾き過ぎたからと言って逆になることは考えられません。しかし元々後湾なので、それをさらに助長することになり、やはりそれを支える筋肉の負担は計り知れません。
 脚は、施術時の体の前重心を支えることと、体の重みを支えて体を安定させる必要があるので、疲れが溜まることは普通です。

 そして全ての背骨に共通して、上の背骨と下の背骨の間には太い神経や、そこから枝分かれする細い神経が出ています。基本的に、良い体勢であれば特に骨の変形やその他何らかの疾患やケガがない限り神経の流れは正常であり、前かがみになると神経圧迫や引き伸ばしが起こり、神経の流れが乱れます。そうすると腰周りで考えればお尻や脚まで痺れが現れたり、肩や首周りで考えれば腕や手まで痺れが現れたりする可能性があります。さらには、腰や首はヘルニア発生にも繋がりますので注意が必要です。

 このように、施術中の体勢は腰痛や肩コリ等に大きく影響することが考えられます。できるだけ腰周りの背骨を前湾状態に保って、背中や首は丸めずしっかり起こしておくことが大切です。

  また、これらの良い体勢を実践すれば腰痛や肩コリの防止だけではなく施術の効率においても良い結果に繋がります。腰や背中が丸い体勢で押圧すると上半身だけでしか体重を乗せることができなく、その限界点が低くなります。それに対して腰や背中、首をしっかり起こしておくと腰から体重を乗せることができ、限界点が高くなります。限界点が高い方が無駄な力が不要で、安定していて気持ち的にも体力的にも余裕が出ますし、施術に集中できます。すると、施術を受けているお客様にも安心感を与えることができます。ただし、全ての施術時間において良い体勢を実践することは容易ではなく、ましてその必要はありません。全体の半分程度の時間から実践してみて慣れればもう少し増やしてみると良いでしょう。

 これらのようなことが術者の体に影響を与えたり、施術の効率性、お客様の安心感に繋がることを認識して取り組むことで少しずつ良い効果が表れるはずです。最初のうちは無理をせず、ゆっくり時間をかけて実践していくと良いでしょう。もし、合間に空き時間があれば、腰や背中を後ろに反る体操や、骨盤を回転させる体操をすることを合わせておススメします。

②施術はお客様と術者の両者で「持ちつ持たれつ」の関係が理想的です。お客様は押圧等されることで心地よさを得、術者は自身の体をお客様に支えてもらい心地よさを得る。このバランスが成立せずに術者の体を自身の筋力のみで支えることが多ければ、それは特に腰や脚への負担が大きくなります。

 圧迫の深さ(加減)の理想としては、面に対して垂直に圧迫できているものだという前提で、ゆっくり自然に体重を乗せて沈み込みが止まった部分から、さらにほんのわずかに圧迫です。全てのお客様に当てはまるものではありませんが、経験上かなり有効な手段です。
 そうして合わせた圧迫加減でぴったりの場合や、それよりさらに深く圧迫する必要がある場合は、腰や脚への負担は少なく済みます。逆に、術者が合わせた圧迫加減が理想よりも浅かった場合や、お客様より弱めで希望された場合は、腰や脚への負担は大きくなります。

  お客様の希望を考慮した結果、術者の体重を十分に乗せられず、腰や脚の負担が大きくなることはやむを得ませんが、術者の感覚的な失敗で理想的な深さに到達していないとすれば、まずそこから見直すべきです。

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