大人のランドセル型バッグ

すべて
この記事は約3分で読めます。

雄太は目を覚ました。

なんだかいつもと違う。

昨日寝るのが遅かったせいか少しまだ眠い。だけど早く行かなくちゃ!雄太は急いでバッグを背負った。さぁ今日もがんばるぞ!

雄太は足早に家を出た。さあ今日はどの道を歩こう。まぁいつもの道で行かなくちゃ怒られるからな。なんだか懐かしいなぁ。田んぼがあって小鳥のさえずりが聞こえる。周りの人たちもみんな一緒に歩いていくんだ。草花は緑が美しく空は青い。今日もなんだかいいことありそうだ。

ん?この花はなんていう名前なんだろ?ちょっと見ていこう。「おい!雄太!そんなことしてると遅れるぞ!」雄太はその声に反応して、早く行かなくちゃと足早にまた歩き始める。

すると次は小さな小川に立ち止まる。そこには小さな魚や、大好きなザリガニがいるんだ。そのザリガニを雄太はおもむろに捕まえる!それを後から歩いてくる女子に見せびらかして驚かせるんだ!そんなことをしているうちにまた後から別の友達がやってきて「雄太!何やってるんだー早くしろよ!」と言いながら先に進んでいく。雄太はその言葉にハッ!としてまた足早に先に進んでいく。

次は横断歩道。ここは車が多いから、しっかり慎重に渡らないとなぁ!そこには旗を持って誘導してくれる人がいてくれる。安心だ。「おはようございます」と、声をかけてゆっくり慎重に渡っていく。

渡り終えるとそこにはまた小川が流れていてその周りには木々が生え茂っているんだ。その小川には、まぁ手が届かないから上から見下ろす。小さな魚がいる。ん?あれは何だろう。トカゲ?へび?オオサンショウウオ??

じーっと見てしまう。雄太はそうしているうちに、なんだか今何してるんだろう。そんな気分になって、さらには、どこに向かってるんだろう。そんなふうに思ってきた。

そうしているうちに周りの友人は皆いなくなっちゃった。あれ俺何してるんだ。ここはどこだよ!とにかく進まなきゃ!早く前に行かなくちゃ遅れちゃうわ。さあ進もう!雄太は足早に歩き始めた。ただ雄太はどこに向かっているのか自分でもよくわからなかった。

そしてしばらく歩き続けるうちに学校のグランドが見えてきたよ。あーここは小学校のグランドだ。うん、僕はここの小学校に通ってたんだな。ていうか通ってるんだよなぁ。あれ?門の雰囲気が違うぞ。もっと錆びた門だったぞ。しかも校舎がきれいになってるぞ。あれ?昨日まではもっと古い校舎だったのに。あれ?ここにこんな物置なんかなかったぞ。ここには確か木が生えていた。そうだ、桜の木が生えていたはずだ!

「おはようございます」おもむろに声をかけてきた人がいる。どうやらこの学校の先生らしい。知らなあ。誰だこの人は。あれ他の先生も全然わからないぞ。そういえば、さっきから声をかけてきた友人と思っていた人も誰だ。俺は一体何をしているんだ。校舎に入っていいのか俺は。

雄太はその時、ふと気づいた!

俺は小学生じゃない!俺は会社員だ!なぜここにいるんだ!雄太は全く意味がわからない。頭が混乱しているよ。なぜだ。なぜなぜだ?

あ、これだ!雄太は気づいた。昨日買ったバックだ。はぁー、俺はなんてことを。早く家に帰って準備し直して出直そう。雄太は新しく買ったバッグに翻弄されて、昔通っていた小学校に向かってしまっていたのだ。

でもなんだか楽しい朝だったなぁ。会社では怒られるかもしれないなぁ。ちょっと遅刻だ。遅刻どころじゃ済まないなぁ。まぁいいやしっかりと理由を説明すれば大丈夫だろう。雄太はいちど家に戻り、気を取り直して会社に向かうのであった。


オシャレ、懐かしい気持ち!まさに流行の循環!

タイトルとURLをコピーしました