補足事項

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施術の心得

一、コリやハリを施術する際、闇雲に触れるのではなく、その一つ一つの部分を「労わる」「圧迫する」「保持する」を基本とします。当然のことですがコリやハリもそのお客様の体です。例えば力任せにコリを潰してやろうという気持ちで触れると、コリは反発し、ほぐれるどころか逆に緊張します。労わる気持ちがあれば、ゆっくり触れ始めてゆっくり圧をかけ、ゆっくり抜くという流れが自然にできます。それによってお客様は安心感を覚えて緊張が緩み、施術の効果も発揮できるものです。

一、お客様が息を吐くときに圧を加え、息を吸うときに圧を抜いていく。このとき、それぞれのスピードに合わせるように行う。そうすることによって無理なく安心感のある施術になり、施術効果を最大限に発揮できることに繋がります。お客様と術者の接点である手指等で、お客様の体を包み込みように、さらに気持ち的にも込むような気持ちで臨みましょう。

一、お客様をお客様である前に人間であることを忘れず、慈悲と感謝の気持ちを持って接するようにしましょう。

一、お客様と自分を置き換えて感覚を分かるようにする。そのためにには術者も自ら施術を受け、自分が行っている施術がお客様にどんなふうに伝わっているかをイメージできるように努力する。

一、そこにいるお客様とその周辺の人等にも幸せになって欲しいと思う気持ちで接する。そのお客様の周りには様々な人や動物等が存在し、それらとの繋がりの輪の中で生活されています。そのお客様の気持ち一つが、その輪全体に影響する可能性があることを常に認識して言動を考えましょう。

まとめ
◆術者自身の体をいためてはならない。
◆お客様の体をいためてはならない。
◆お客様を不安にさせてはならない。


効率性を上げる

 技術の基礎押圧法は3つのタイプに分類できます。それぞれ例えを用いながら説明します。

①支えタイプ「支えを作ってバランスをとる」
 例えば、傘の持ち手を下駄箱の端っこにかける風景を思い浮かべて下さい。ただ、かけてあるだけの状態であれば問題ありませんが、何らかの目的で持ち手の端の部分で下駄箱を凹ませてやろうと、傘の本体に人がぶら下がったとしたらどうでしょう。おそらく下駄箱が凹む前に持ち手の部分は破損するような気がします。
 その理由の一つとして、傘の本体側に重みが偏ってしまい、持ち手の部分がそれを支えきれなくなったことが考えられます。もし、持ち手の部分の上に乗るなどしていれば上手くいったかもしれませんね。
やむを得ず力のかかる方向と力をかけたい方向が異なる場合は、必ず支えを作ってバランスをとりましょう。

②ストレートタイプ「面の方向に対して垂直に圧をかける」
 例えば、釘を特定の場所に真っ直ぐ打ち付ける風景を思い浮かべて下さい。真っ直ぐな釘を、壁に対して垂直にセットした状態で打ち込みませんか?もしも釘が曲がっていたらどうでしょう?もしも釘が壁に対して垂直ではなく斜めにセットされていたらどうでしょう?(無論、斜めでも打ち込めてしまうこともありますが、それは例外として下さい)。おそらく上手く打ち込むことはできないような気がします。
 その理由は、力のかかる方向が力をかけたい方向と異なっているからです。力のかかる方向と力をかけたい方向にズレがあれば、実際にかかる力の方向は分散されてしまいます。

 このように、ある部分に最も効率的に力をかけるためには、力が他に分散されないようにすることです。その方法がまさに「面の方向に対して垂直に圧をかける」と言うことです。

③軸合わせタイプ「重心バランスを合わせる」
 例えば、竹馬に乗るイメージをしてみて下さい。人が地面に対して垂直に乗ろうとするとき、竹馬は同じように地面に対して垂直の状態で大丈夫でしょうか。おそらく両者ともに垂直を保持しようとすると立っていることは不可能であるような気がします。それは重心が一方に偏っているためだと説明できます。竹馬の角度、もしくは乗る人の位置によって重心を調整しすれば立っていることが可能でしょう。

 その他、技術とは直接関係ありませんが、ここで併せてお話しておきたいことがあります。それは、施術の姿勢です。

 例えば、小さな川に橋を架けてみるとします。薄くて曲がりやすい板と、厚くて頑丈な板があります。薄くて曲がりやすい板は、上を歩こうとすればおそらく曲がってしまって折れてしまうか、川にはまってしまうような気がします。

一方、厚くて頑丈な板は、上を歩いてもしっかり形状を保ってくれるような気がします。無論、上を歩くものがネズミやネコなどの小動物であったり、想像以上の巨人である場合は別の話です。
 厚くて頑丈な板はしっかり形状を保ってくれますが、それは単に板だけのお陰ではなく川の両岸がそれを支えてくれているからでもあります。その分、岸にはより大きな圧が加わっています。

 このように、圧を加えたい部分に対しては簡単に曲がるような板ではなく、頑丈な板の方が効率が良いのです。施術中の上半身の姿勢に当てはめて考えると、背中が丸くふにゃふにゃで安定性がない方が薄い板、逆に背中がしっかり起きていて安定性がある方が厚い板です。また、これらを怠ることによって起こり得る問題を「補足 | 術者の体をいためる理由 |」で説明しておりますのでご確認下さい。

施術の効率性を考える


力加減について

 力加減とよく言いますが、実際には手指等の力が必要なのは、コリやハリをとらえて離さないようにするための最低限のものです。なので、正確には圧をかける深さと言った方が自然であり誤解を招きにくく思います。
では圧を加える深さを考えてみましょう。体の表面は皮膚や脂肪に覆われていて、筋肉はそれらよりも深層になります。

 筋肉の深さまで圧が到達して、ようやく本質の施術が始まると言っても過言ではありません。その方法は、まずお客様と術者の接する部分をセットできたら、その面に対して垂直方向に自然にゆっくりと体重を乗せていきます。このとき、指で施術するとすれば術者の手は固定状態にし、手首の返しで微調整をします。指は基礎的押圧法の形を作るための動き以外に、揉むなどは基本的に不要です。体重を乗せていくと、どこかで沈み込みが止まる段階を感じられます。そこが筋肉への到達点と言えるでしょう。さらに、その段階よりわずかに圧を加えます。そうしてたどり着いたところが理想的な圧の深さです。
ただし、お客様によっては異なることもありますので、随時確認しもって行うようにして下さい。

 また、圧をかけるのが指なのか手掌なのか、施術に使う術者の体の部分それぞれ面の広さが違い、一点にかかる圧の具合が変わります。特に指先や肘頭等の最も狭い面の部分を使う際は慎重に体重を乗せるようにしましょう。

 なお、手掌や前腕は面が広いからと言って油断してはいけません。
肋骨のように、しなりのある曲面状の骨は前後や左右からの、比較的弱い圧力によってでも骨折してしまうこともありますので決して気は抜けません。

圧力について


術者が体を痛める理由

 リラクゼーションマッサージ(ほぐし)の業務を行っていく中で手指等をはじめ、腰や肩等をいためてしまうこともあるかと思います。特に最初のうちは要領が分からないこともあり体のあらゆる場所が痛くなるかもしれません。正しいフォームはまず理屈を知った上で自身で作り上げるものです。教わったフォームだけを真に受けず、自身でもしっかり吟味してみて下さい。

 手指等や腰、肩等をいためる理由として、その部分に余計な力がかかっていることや、物理的に体の一部がどこかに当たっている、施術姿勢のクセ付け等が挙げられます。これらは現時点では何も問題が発生していなくても将来的に何らかの問題が発生する可能性がありますので、今一度見直していただきたいところです。例として具体的に下に記しますので、参考になれば幸いです。

◆施術の手指等の支えがない
 体重をかければ、施術の手指等には反発的な力がかかってきます。支えをしていればその部分にかかる力の負担を抑えることが可能ですが、支えがなければその部分にかかる反発的な力を、そこにある手指等のみで受けなければならなくなります。そうすると手指等は押し返されないようにと筋力で抵抗する他に手段はなく、結果的にその手指等は極度な疲労やケガ(腱鞘炎、バネ指、骨折、変形等)を負う可能性が高くなります。

◆軸合わせをしていない
 体重をかければ、施術の手指等には反発的な力がかかってきます。軸合わせをしていればその部分にかかる力の負担を抑えることが可能ですが、軸合わせがなければその部分にかかる反発的な力を、そこにある手指等のみで受けなければならなくなります。そうすると手指等は押し返されないようにと筋力で抵抗する他に手段はなく、結果的にその手指等は極度な疲労やケガ(腱鞘炎、バネ指、骨折、変形等)を負う可能性が高くなります。

◆体勢に無理がある
 体は常にバランスを調整しながら立っている状態や座っている状態を維持しています。どちらかに重心が偏れば、その分を逆側の筋力で引っ張って倒れないようにします。その状態が長く続くと筋肉への負担が積み重なり、何らかの症状を発することが予想できます。完全に防ぐことは不可能ですが、そういった理屈を意識し、気を付けることによって少しでも負担を軽減できます。

◆体重が乗る方向と施術部分の面が合っていない
 圧をかけるべき方向と、実際に圧をかけている方向が異なると、まず効率が悪くなることは容易にイメージできますが、それだけではありません。施術の手指等は圧をかけるべき方向に圧をかけたいが、そもそも軸が合っていないので自然な状態ではそれを実現できません。そうなると、手指等の筋力を使って無理に合わせていくしか手段がなく、疲労やケガに繋がる可能性が高くなります。

◆関節サポートがない
 母指または四指でストレートタイプ押圧をする際、力のかかり方としては適正なのでそれに関しては支えは不要です。しかし、指の関節が不意に曲がってしまいケガをする恐れがあるので、関節部が曲がらないようサポートのために手をあてておくことをおススメします。

◆立ち位置がクセ付いている
 例えば、背中や脚を全体的に、両手を使って手掌圧迫するとします。この際、ベッドの左側であろうが右側であろうと、どちらでも良いわけですが、だいたい一方に決まってしまっている術者は多いのではないでしょうか。得意不得意や慣れもあるので仕方がないことではありますが、これもまた体をいためる可能性が考えられます。ベッドサイドに立って、真っ直ぐに寝ているお客様の体へ左右均等に圧をかけるわけですから術者の体が捻じれてしまうことは逃れられません。それが毎日続くとやはり負担は積み重なり、疲労やケガに繋がる可能性が高くなります。

◆握力等の力メインで施術している
 握力等の力任せの施術はケガにも繋がりやすいですが、何よりも疲労が半端なく長時間の施術は困難でしょう。指で施術をするとすれば、指は施術部分にセットすれば固定状態にし、体重を支えるための筋緊張だけにとどめることが理想です。微調整は手首の返し等で行います。指を固定状態と言うのは例えると、手提げカバンを持つときに手は力いっぱい握りしめますか?おそらくは軽く指を曲げてカバンを引っ掛けている程度だと思います。イメージが伝わりにくいかもしれませんが、要は同じ理屈です。

◆硬い床に膝を着くことが多い
 長時間でなければ気にならないかもしれませんが、それでも毎日の積み重ねとなると意外に負担がかかっているものです。また、硬い床以外でも、例えば立っているときにベッドの縁に膝周りを当てて体を支えるように施術している場合でも同じようなことが言えます。何気ないことですが念頭に置いておきたいものです。

痛める理由


施術するために筋力トレーニングは必要か

 リラクゼーションマッサージ(ほぐし)等の施術は、体重移動で行うので力は不要と度々耳にしたことはありますが、実際にはお分かりのように指や手、腕、体幹の筋力はそこそこ必要です。お客様の体に体重を乗せることは、言い換えれば術者の手指等で自身の体重を支えることです。圧をかけた状態で術者は体の位置や体勢を保持し、また、圧を抜く際は背中や脚の筋力を使って体を起こします。
 結論としては、筋力トレーニングは特に必要なものではなく、理想的な姿勢や方法で日々の施術をこなしていけば、自然と必要な筋力はつきます。ただし、無理のある姿勢や方法で施術を行っていたとすれば、それに対して必要な筋力がついてしまい改善が困難になることも考えられます。また、ケガや体調不良のもとになる可能性もあります。気になる術者はできるだけ早期の見直しが大切です。

   もし、姿勢や方法に問題がなくても、ある程度の筋力トレーニングをすれば、施術の安定性を確保でき、術者のケガや体調不良の防止にも役立つと思います。筋力トレーニングをする場合の箇所の優先順位としては、指・手首・肘・肩・体幹の順番が良いように思いますが、筋力トレーニングに関しての詳細は別途専門家に相談されることをおススメします。


医学的知識は必要か

 結論から言うと必要です。まず、筋肉や骨については絶対的に必要です。内臓の位置や血管、神経等の流れもある程度把握しておくことが理想です。これらは施術をする上で直接的に我々に関わってくるものです。特に筋肉や骨の形や付き方は全く知らないでは話になりません。覚えることは決して容易ではありませんが、施術の際によく触れる場所の筋肉や骨だけでも最低限は把握する必要があります。

 ケガや疾患に関してもある程度の知識がある方が良いでしょう。何故なら、肩こりや腰痛、その他の症状は、もしかしたら慢性的なものではなく、骨折や何らかの内臓疾患と関わっている可能性があるからです。お客様に恐怖をあおるわけではありませんが、場合によっては病院での受診を勧めるべきときもあります。ただし、何でもかんでも病院病院と言えば良いものではなく、何らかの根拠を基に話をするようにするべきです。


資格・免許について

 まず最初に、リラクゼーションマッサージ(ほぐし)に限らず、エステ等にも資格はあります。ただ、それらはあくまで民間の団体または個人が作ったものであり、対外的に考えると実質的に効果はないと言っても過言ではありません。何故なら、これらの業種はサービス業の位置付けであり、特別に何らかの基準があるわけでもなく公的な資格がないからです。もちろん、お客様から見える場所に掲示しておけば、しっかり勉強しているんだなと信頼に繋がることはありますし、何よりも勉強して取得した術者の自信に繋がりモチベーションが上がりますのでとても良いものです。
 民間資格は、言ってしまえばスクール学校や個人問わず誰にでも発行できるものですので、取得を検討中の方は、その内容や費用をしっかりと見極めていきたいものです。

   国家資格(免許)とは国から与えられるもので一定の基準を満たした者が試験に受かれば授与される公的なもので、対外的に効果を発揮します。我々のような施術に比較的関連があるもので考えると柔道整復師、針・灸師、マッサージ師等があります。これらは資格と言うより免許となっておりますので、これなしでそれぞれの業務を行うことは違法になります。

 これらのように、一概に資格と言っても種類がありますので、スクール学校や専門学校をお考えの方、資格・免許取得を考えている方は慎重に検討していかなければなりません。

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